火葬場の職員に対する心付けは、最も判断に迷うポイントの一つですが、渡す場合の相場とスマートな渡し方を知っておくことで、当日の混乱を防ぐことができます。まず、公営の火葬場では先述の通り原則禁止ですので渡しませんが、民営の火葬場(特に東京23区内など)では、心付けが慣習化しているところがあり、その場合の相場は、火葬担当者に「3千円〜5千円」、休憩室(控室)の担当者に「2千円〜3千円」程度が一般的とされています。渡し方としては、現金をそのまま手渡すのは失礼にあたるため、必ず小さめの不祝儀袋(ポチ袋)に入れ、表書きには「志」または「心付」と書き、その下に喪主の苗字を記入しておきます。渡すタイミングは、火葬場に到着してすぐに、葬儀社の担当者を通じて渡してもらうか、喪主が直接「本日はよろしくお願いいたします」と挨拶をする際にさりげなく手渡すのがスムーズですが、直接渡すのが気恥ずかしい場合は、茶菓子の下に忍ばせておく(休憩室の場合)といった方法をとることもあります。また、火葬場によっては、領収書の発行されない心付けのやり取りを嫌い、窓口で「心付け代」として一括して受け取り、領収書を発行するシステムを採用しているところもありますので、その場合は指定された金額を支払えば、個別にスタッフに渡す必要はありません。もし心付けを用意していなかった場合でも、火葬の手続きや進行に支障が出ることはありませんが、慣習として残っている地域では、周囲(親戚など)から「渡さないのか」と指摘されることもあるため、予備のポチ袋と千円札を数枚用意しておくと、いざという時に慌てずに対応できます。大切なのは金額の多寡ではなく、「最後のお世話をお願いします」という遺族の誠意を伝えることであり、その気持ちが職員に伝われば、故人をより丁寧に扱ってもらえることにつながるはずです。