経済的な事情や「お骨はいらない」という価値観の変化により、葬儀を行わずに火葬だけを行う「直葬(ちょくそう)」の中でも、さらに簡素化された「骨上げなし(収骨なし)」のプラン、いわゆる「焼き切り(0葬)」を選択する人が都市部を中心に増え始めています。このプランでは、遺体を火葬場に搬送して火葬した後、遺族は骨上げを行わずにそのまま解散し、残った遺骨(焼骨)の処理は火葬場や葬儀社に一任する(所有権を放棄する)ことになります。メリットとしては、骨壷や墓を用意する必要がなく、納骨堂の管理費や永代供養料といった死後のコストを一切かけずに済む点や、身寄りのない人や遠縁の親族が「遺骨を引き取りたくない」という場合にトラブルを回避できる点が挙げられます。しかし、実際には日本の多くの公営火葬場では「骨の持ち帰り」が原則となっており、骨を置いて帰ることを禁止している自治体も多いため、このプランが利用できるエリアや施設は限られているのが現状であり、場合によっては民間の散骨業者や送骨サービス(遺骨を郵送して永代供養してもらう)と組み合わせて利用することになります。また、一度骨上げを放棄してしまうと、後になって「やっぱりお墓に入れたい」「手元に少しだけ置いておきたい」と思っても、遺骨は他の人の骨と一緒に処理(合祀)されてしまっているため、二度と取り戻すことはできませんので、親族間で十分な話し合いと合意形成が必要です。骨上げをしないという選択は、究極の断捨離であり、死後のしがらみからの解放とも言えますが、一方で「何も残らない」という虚無感に襲われる可能性もあるため、自分が本当に納得できる最期なのか、心の声と向き合って決断することが求められます。